2008年04月22日

聖枝祭/枝の主日/棕櫚の主日


正教会では「聖枝祭」、カトリックでは「枝の主日」プロテスタント系では「棕櫚の主日」と呼ばれるこのお祭りは、
「復活祭(パスハ/イースター)の1週間前の日曜日」に行われることになっている。
復活祭が移動祝日であるため、聖枝祭も当然移動祝日であり、毎年微妙に違う日取りで執り行われる。

聖枝祭は、
ナザレのイエス(キリスト)が「過越の祭り(モーセがイスラエル人をエジプトから脱出させたという旧約聖書・出エジプト記の記述に由来する、イスラエル人にとって重要な祝祭日)」のためにエルサレムに入城したとき、
民衆がナツメヤシ(日本の聖書では慣例として「シュロ」と翻訳表記する)の枝……というか葉っぱを打ち振るい、道路に敷き詰めて歓迎したことに端を発する祭り。

ナツメヤシが生える暖かい地方では、
由来通りにナツメヤシの葉っぱを持って教会礼拝に行く。
ただ、ナツメヤシは何処にでも生えているというわけではないので、
各地方によって持ってゆく木の枝が違ってくる。

基本的にはシュロなどの同じ椰子科の植物がが多いのだけれど、
それだって何処にでも生えているってわけじゃないから、
別の植物で「代用」することが多い。

日本のカトリック教会ではナツメヤシと何となく葉っぱが似ているソテツが多く使われる。

オリーブ(これも聖書の中で多く取り上げられている植物だし、ナツメヤシ同様に実を搾って油を採ったりもするからだろう……たぶん)を使う地域もある。

ロシア正教では土地柄、ヤシもオリーブも手に入れがたいことから、
春に芽吹くネコヤナギの枝を代用する。
ロシア正教系である日本ハリストス正教会でもネコヤナギを使う。
翌日、祭日の為に来りし夥しき群衆、イエズスエルザレムに来り給ふ由を聞きて、
棕櫚の葉を執りて出迎へ、ホザンナ、主の御名によりて来るイスラエルの王祝せられ給へかし、と呼はり居りしが、
イエズスは小驢馬を得て之に乗り給へり、録して
シオンの女よ、懼るること勿れ、看よ、汝の王は牝驢馬の子に乗りて来る」とあるが如し。
弟子等初は此等の事を暁らざりしが、光栄を得給ひて後、其イエズスに就きて録されたりし事と自ら御為に為し事とを思出せり。
ヨハネ傳福音書(ラゲ訳)12:12-16

聖墳墓教会は、各宗派が共同で管理している。
考え方の違う人たちが一所に集まるわけだから、
いざこざだって起こるだろう。
坊主も人間だ、気に入らない人を追ン出したくなることだってある。

ただ、日取りが悪かったわな。
何しろみんな「武器」になりうる木の枝(ヤシの葉っぱ)を持って集まってたんだもの。

聖枝祭の日付のこと。

復活祭の一週間前の日曜日に行われることになっている聖枝祭は、
復活祭をいつに行うかによって日付が変わる。

復活祭はコンプトゥスと呼ばれる特別な計算式で割り出され、
「春分の日当日あるいはそれ以降の最初の暦上の満月(新月から数えて14日目)を過ぎたあとの最初の日曜日」
に執り行うことになっている。

この算出方法は、325年3月20日から執り行われた、
世界で初めての全教会規模の会議である「第1ニカイア公会議」
によってこの日付が決定された。
それまでは復活祭をいつ祝うか、各派でばらつきがあった。
(余談:サンタクロースこと聖ニコラウスが異端派の司教をぶん殴ったのもこの会議の席でのことだったりする)

ここでくせ者になってくるのは「春分の日」がいつかってこと。

ニカイア公会議の頃に作られたユリウス暦は
1年を原則として365日とし、4年に1度の閏年に2月に1日を加えて366日とする暦で、
厳密に言うと地球の公転周期(1太陽年)とは4年に約44分の誤差が生じる。

4年で44分の誤差は
100年で1100分(18時間と20分)の違いになる。
1000年経てば11000分(7日と15時間と20分)のズレとなる。
(計算が間違っていないことを祈る)
ちなみに上は秒単位は切り捨てで計算した結果なので、
現実とはかなり違っていると思われる。
鵜呑みにしないでちょうだいな。

現在では大凡13日のズレが生じている。

これを補正するために1582年にグレゴリオ暦が作られる。

グレゴリオ暦は、
1年を365日とし、4年ごとに閏年をおいて366日とする。ただし、400年間に3回ほど閏年とせず平年に戻という暦。

カトリック教会はこの新しい暦をいち早く導入した。
次いでプロテスタント系も(ケプラーのルドルフ星表というウルトラCを突っ込むことによって折り合いを付ける格好で)1627年頃から導入した。

ところが正教会(東方教会)ではこれを導入しなかった。

ニカイア公会議での取り決めはユリウス暦で行ったこと。
会議の決定を遵守しようという考え方だったようだ。
(母体であるユダヤ教の行事の日程が決まってから
 キリスト教の行事日程も決めようという方針もある。
 ユダヤ教の暦「ユダヤ暦」とユリウス暦は互換性が高いので
 各種計算がしやすく、グレゴリオへの転換に踏み切れない、
 という事情もあるらしい)

現在では、日常使う暦では世界中がグレゴリオ暦を使っているが、
グローバル社会ではその方が都合がいいからね)
正教会系の宗教行事はユリウス暦で執り行われている。

結果、正教会(東方教会)の固定祝日は
カトリック・プロテスタント(西方教会)のそれから
概ね13日遅れで執り行われることになっている。

ややこしいのは移動祝日の算出法。
太陽暦の春分と、月の動きを組み合わせないといけない
イースターの日取りの算出はややこしい。

2008年のイースターを比較すると、
西方教会では3月23日、
東方教会では4月27日、
と、大凡1ヶ月もずれてしまっている。

枝の主日とか棕櫚の主日とか言われているお祭りがとっくに終わっているのに、
聖枝祭がらみの騒ぎが起きてしまったというのは、
このややこしいズレが原因。
posted by 何処園 at 11:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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